神戸大学大学院システム情報学研究科 情報科学専攻 知能情報講座 創発計算研究室

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VTOL型UAVの研究開発


公益財団法人JKAの補助(オートレース)を受けてVTOL型ドローンの高機動飛行制御に関する研究を実施しています。(令和5年度)
また、公益財団法人JKAの補助(競輪)を受けてVTOL型ドローンの研究開発を実施しました。(平成29年度〜30年度)
平成29年度〜30年度の補助事業による研究内容および成果についてはこちら(PDF)にまとめています。



大規模災害発生時は、被災地が広範囲な地域に点在することが想定されます。 迅速かつ詳細な情報収集や遠方への緊急物資輸送を実現するためには、現在のマルチコプタ型のドローン(UAV, Unmanned Aerial Vehicle)は 飛行速度、航続距離の点で不十分です。そこで、飛行機(固定翼機)のような効率的かつ高速な長距離移動性能と、 マルチコプタ(回転翼機)のようなホバリング性能を併せ持つ自律飛行可能なVTOL型UAVの研究開発を行っています。

搭載システム


2010年よりティルトロータタイプの機体開発を進め、2015年にはエアロセンス株式会社と共同開発を行い、 VTOL(Vertical Take Off and Landing)機として回転翼機モードでの離陸から、固定翼機モードに遷移しての高速飛行、 回転翼機モードに戻っての着陸までを実現しました。現在は、この機体に加えて、二重推進タイプの機体、ティルトウィングタイプに対象を広げて、飛行力学や飛行制御の研究を進めています。



センサ班

搭載システムの構築

UAVの自律飛行を実現するためには、センサ値の読み取り、飛行状態の推定、制御計算、サーボやスピードコントローラへの指令値送信という一連の流れをリアルタイムに処理する必要があります。 UAVに求められるタスクは多様化しており、障害物回避や安全な自動着陸などのために、より多くのセンサ情報を統合し高度な処理をすることが求められています。 センサ班は、必要な搭載センサシステムやアルゴリズムについて研究を進めています。

搭載システム



拡張カルマンフィルタを用いた飛行状態推定

UAVの自律飛行には飛行状態の推定が必要であり、航空機の慣性航法システムでは、位置や姿勢の推定にカルマンフィルタが広く用いられています。 現在では市販のオートパイロットで可能ですが、UAV開発を始めた当初は、MEMS技術による小型軽量のセンサを用いて、機体の位置、速度、姿勢を推定する拡張カルマンフィルタを 構築していました。この研究の発展として、GNSS衛星の配置に応じたカルマンフィルタの構築方法に関する研究を現在は進めています。

拡張カルマンフィルタによる推定結果



制御班

飛行力学モデルの構築

ティルトロータ機は、推力を発生させるメインロータの角度を変化させることで、回転翼機モードと固定翼機モードを切り替え低速ホバリングから高速飛行までが可能です。 しかし、幅広い速度域、ロータのティルト角のため、機体に加わる空気力は極めて複雑に変化します。 より飛行効率の高い機体への改良、安定した自律飛行の実現のためには、この空気力を把握することが重要です。 飛行実験データから様々な飛行状態における空気力をシステム同定手法によって推定するとともに、CFD(Computational Fluid Dynamics)解析も用いて、 開発機の空力特性の解明に取り組んでいます。

ホバリング


飛行制御則の構築

VTOL型UAVでは、回転翼機モード、飛行モード間の遷移、固定翼機モードのすべてにおいて、安定した飛行を可能とする 飛行制御系が求められます。回転翼機モードでは、マルチコプタに比べると、主翼や尾翼が風外乱を受けやすくなりますし、 モード間遷移時の空気力には未解明な部分が多いです。上述のモデル化とより高度な制御系の構築によって、 実用レベルの飛行安定性を実現するため、飛行制御系の構築を行っています。

水平飛行


Maneuverability解析にもとづく高機動飛行

VTOL型UAVには、各飛行モードのためのアクチュエータが搭載されており、制御入力は冗長となることが多いです。 従来の飛行では各飛行モードにおいて使用するアクチュエータが決められており、この冗長性を活用したときの 飛行性能については十分に明らかにされていません。搭載アクチュエータを最大限に活用したときの機動性を解析し、 様々なアクチュエータ配置のVTOL型UAVが持つ飛行性能の解明を進めています。

水平飛行



謝辞

本研究を進めるにあたり多くの皆さまおよび財団のご支援をいただいています。ここに感謝申し上げます。

  1. 公益財団法人JKA補助事業,令和5年度
  2. 川西記念新明和教育財団研究助成,令和3年度
  3. 公益財団法人双葉電子記念財団,平成31年度,令和2年度
  4. 公益財団法人JKA補助事業,平成29〜30年度
  5. 三豊科学技術振興協会研究助成,平成28年度
  6. 伊藤忠兵衛基金学術研究助成金,研究代表者,平成27年度
  7. JR西日本あんしん社会財団研究助成,平成27年度
  8. 倉田記念日立科学技術財団倉田奨励金,平成24年度
  9. スズキ財団科学技術研究助成金,平成24年度
  10. 川西記念新明和教育財団研究助成,平成24年度
  11. 関西エネルギー・リサイクル科学研究振興財団研究助成,平成22年度

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