• 細胞シミュレーション

近年の生命科学の傾向として、生命現象をコンピューターによりシミュレーションするという動向が 盛んに行われている。 本研究室では、医工連携で膵臓β細胞のインスリン分泌のシミュレーションに取り組んでいる。

  • 研究背景

生体における血糖値の制御は、膵臓に散在するランゲルハンス島を構成する膵臓β細胞が 血糖値を正常に保つ作用をするインスリンというホルモンを分泌することにより成立している。 しかし、その血糖制御機構が破綻すると、高血糖状態が続くことになり、糖尿病になる。 糖尿病になる原因はいくつかあるが、そのひとつとしては膵臓β細胞のインスリン分泌不全がある。 日本人をはじめとしたアジア人にインスリン分泌不全が多くみられる。

  • 研究目的

インスリンは細胞内で顆粒で存在しており、インスリン分泌不全はインスリン顆粒の動態が悪くなる ことによって引き起こされると考えられている。 膵臓β細胞のインスリン分泌機構などの解明が進んだが、インスリン顆粒の動態というのは現在の 顕微鏡技術では観察不可能である。 一方で、本学医学研究科では、TIRFM(全反射蛍光顕微鏡)により細胞膜付近に存在するインスリン顆粒の動態 が観察され、インスリン分泌顆粒数などの計測が行われた。 本研究の目的は、それらの医学実験によるデータや医学的な知見を基に、インスリン顆粒の動態を シミュレーションにより解明することである。

  • 最近の研究

細胞を計算機上で仮想化して、医学的知見やTIRF画像を基にインスリン顆粒の動態モデルを作成。 そのモデルを基にシミュレーションをし、それより得られるデータを医学実験によるデータと比較・分析する。

生命科学に興味のある方、どうぞ来てください。